<イベントレポート>異なる軌道が交差するクロスジャンルLTイベント「Orbit Base #2」を開催しました!

「Orbit(軌道) Base(基地)」には、”普段は別々の軌道を描いている人たちが交差する場所”という意味が込められています。
AIを共通言語に、DX・スタートアップ・エンジニア・クリエイターなど、さまざまな分野で挑戦している人たちが集まり、分野を越えた出会いや対話を生み出すイベントです。登壇者のLT(ライトニングトーク:5〜10分程度の短時間プレゼン)を聞いた後に、参加者同士でゆるく交流できる時間があります。
第2回となる今回は、DX人材・AI時代の学び・未来の技術・クリエイティブ・宇宙ビジネスなど、多様なテーマでLTが行われました。技術の話にとどまらず、「これから人は何を考え、どう行動していくのか」を問い直すような時間となりました。そんなイベントの内容をレポートで詳しくお伝えします!

イベント概要
日時:2026年5月19日(火) 19:00〜21:00
会場:エンジニアカフェ(福岡市赤煉瓦文化館)
主催:福岡DXコミュニティ、公益財団法人九州先端科学技術研究所

イベントの最初は、参加者同士の緊張をほぐすため、3〜4人のグループに分かれて「実は〇〇」「今日期待していること」というテーマで、アイスブレイクを実施。それぞれの自己紹介もあり、会場は和やかな雰囲気で自然と会話が広がっていました。

そして、LTイベントがスタート!
登壇者5名が、それぞれ持ち時間10分で登壇し、自由なテーマで発表しました。

AI時代に求められる、現場と技術をつなぐ新しいDX人材
1人目は、江頭伸太郎さん(DXコンサルタント)
江頭さんは、建築・不動産領域の知見を持ちながら、企業のDX・業務改善の支援に取り組む、株式会社shintechの代表を務めています。
LTでは、現場の業務理解と技術実装をつなぐ「FDE(Forward Deployed Engineer、前線展開型エンジニア)」という、新しいDX人材の在り方について紹介されました。
FDEとは、システムをつくるだけでなく、顧客の現場に入り込み、業務課題の理解から解決策の実装までを担う人材のことです。
FDEに求められるのは、主に3つの力です。
① 現場の困りごとを理解する力
② 課題をシステムとして形にする技術力
③ 関係者を巻き込みながらプロジェクトを前に進める力
これまでは、こうした幅広い役割を1人で担うには高いスキルが必要でした。しかし、AIによってシステム開発や資料作成などの作業が効率化され、エンジニアはより現場理解や課題解決に注力できるようになっています。
一方で、DXをすべて外部に任せるのではなく、会社のビジョンや意思決定、社内文化づくりなど、組織の根幹に関わる部分は社内に残す必要があります。外部の専門人材と社内の担当者が連携しながら進める「共創」が、企業のDX推進には重要になります。
【LTポイント】
FDEは、AIを活用しながら現場の課題を技術で解決する、AI時代の新しいDX人材です。DXは単なる外注ではなく、外部の力を借りながらも、自社の中に判断軸を残して進めることが大切です。

AIは、私たちの「やった感・やれている感」を無くしているのか
2人目は、高橋宣成さん(デジタル人材育成の専門家)
高橋さんは、株式会社プランノーツの代表であり、ノンプログラマー(非エンジニア)のデジタルスキル習得支援や、組織のDX推進・デジタル人材育成に取り組んでいます。また、コミュニティ「ノンプロ研」を主宰し、働く人が学び合う場づくりにも力を入れています。
LTのテーマは、AIの普及によって、人間が感じてきた「YTK(やった感・やれている感)」が変化しているのではないか、という問いでした。
これまで人は、試行錯誤しながらコードのエラーを直したり、少しずつ理解を深めたりする過程の中で、「自分でやった」という実感を得てきました。しかしAIは、これまで人が担ってきた中間プロセスの多くを代替できるようになっています。
便利になる一方で、自ら手を動かし、悩みながら乗り越えることで得られていた「やった感」は感じにくくなり。さらに、AIが正解のある問いに高い精度で答えられるようになったことで、「自分はできている」という「やれている感」も揺らぎやすくなっています。
高橋さんは、これからは「正解」そのものよりも、「その人らしさ」が大切になると語りました。何を大事にするのか、どんな問いを立てるのか、誰に届けるのか。一人ひとりの背景や経験、意思に価値が生まれていきます。
【LTポイント】
AIは作業を効率化する一方で、人が仕事や学びの中で得ていた「やった感」「やれている感」を感じにくくする可能性があります。だからこそ、自分らしい問いや表現を大切にし、それを認め合えることが重要です。

未来を見据えて、今を動く
3人目は、リジャル・キランさん(エンジニア起業家)
リジャルさんは、株式会社正興電機製作所に勤務しながら、ネパールと日本をつなぐエンジニア起業家としても活動。2025年には、ネパール・カトマンズに「SEINXERA」を設立し、AI・IT・IoT・ソフトウェア受託開発などを通じて、両国をつなぐ事業に取り組んでいます。
LTのテーマは、「技術の発展、現状と未来」。冒頭では、1988年にAppleが描いた未来像「Knowledge Navigator」が紹介されました。そこには、現在のiPadやSiri、FaceTimeのような技術を思わせる世界が描かれており、30年以上前に想像された未来が、今では私たちの日常に近い形で実現しています。
また、AIが身近になる今だからこそ、リジャルさんはいくつかの問いを投げかけました。
・AIの回答を「自分の考え」と錯覚していないか?
・回答はしてくれても、責任は取ってくれない
AIができることと、人間にしかできないことを分けて考えること。そして、もやもやの「壁打ち相手」としてAIを活用すること。便利な道具として使うだけでなく、問いを立てるのは人間の役割であることが語られました。
最後には、「未来を見据えて、今を動く」という言葉を紹介。常に次の技術を想定しながら、今できることに取り組む姿勢が、「人類の暮らしを、変える存在に」というリジャルさんの会社スローガンにもつながっています。
【LTポイント】
未来は遠いものではなく、今の技術や行動の積み重ねから生まれます。AIや新しい技術を受け身で使うだけでなく、「どんな未来をつくりたいのか」を考えながら行動することが大事です。

見方を変えることで、モノの価値は変わる
4人目は、青山晃広さん(クリエイティブディレクター)
青山さんは、クリエイティブで事業を動かす株式会社クリエスタの代表であり、福岡DXコミュニティのアンバサダーも務めています。
LTでは、商品やサービスそのものを変えるのではなく、「意味」を変えることで新しい価値を生み出す考え方について紹介されました。
例として挙げられたのは、双眼鏡です。双眼鏡は一般的に「遠くを見るもの」として認識されています。しかし見方を変えると、災害時に遠方の状況を確認する「防災グッズ」にもなります。また、世界遺産を訪れる旅では、細部まで見て楽しむための「旅の道具」として提案することもできます。
ここで変わっているのは、双眼鏡そのものではありません。変わったのは、人が双眼鏡をどう見るかです。
青山さんは、人はモノそのものではなく、そのモノに結びついた”意味”を見ていると語りました。つまり、商品やサービスの価値は、機能だけで決まるのではなく、「誰にとって、どんな意味を持つのか」によって変わります。
AIが同じような答えを出しやすい時代だからこそ、人間には「誰のどんな悩みを解くかを見つける力」が、これからの差になります。
【LTポイント】
商品やサービスの価値は、機能だけでなく「見られ方」や「意味」によって変わります。AI時代のクリエイティブでは、誰にとってどんな意味を持つのかを捉え直す視点が価値になるでしょう。

宇宙は、地上の暮らしを変えるインフラになる
5人目は、浅野高光さん(宇宙ビジネスプロモーター)
浅野さんは、食・健康・教育・新規事業開発などの分野で、産学連携やオープンイノベーションを推進してきました。現在は、株式会社Space Food Lab.取締役として、「食×宇宙」を中心とした宇宙関連事業の創出に取り組んでいます。
LTでは、「なぜ今、宇宙なのか?」をテーマに、宇宙ビジネスの現在地と、これから社会に与える影響について紹介されました。
現在、宇宙産業には国内外の企業や大学、スタートアップが参入し、ビジネスや研究開発の動きが加速しています。その背景には、再使用ロケットによる打ち上げ費用の低下、小型衛星の量産・標準化など、技術革新による大きな変化があります。
また、宇宙技術は地上の暮らしにもつながってきます。衛星による通信、宇宙を経由した高速輸送、宇宙太陽光発電、衛星データを活用した災害対策や農業支援など、宇宙は通信・移動・エネルギー・食といった地上のインフラを支える存在になりつつあります。
宇宙は、特別な人だけが関わる遠い世界ではなく、私たちの暮らしやビジネスに関わる現実的なテーマです。AIやDXと組み合わせることで、地域企業や地上のビジネスにも新しい可能性が広がっていくことを感じました。
【LTポイント】
宇宙は遠い未来の話ではなく、地上の課題解決や新しいビジネスにつながるテーマです。技術の進化で参入ハードルが下がる今、宇宙を自分たちの仕事や暮らしとどうつなげるかを考えることがビジネスチャンスになります。
異なる軌道が交差し、新しい問いが生まれる場に
今回のイベントでは、DX人材・AI時代の学び・未来の技術・クリエイティブ・宇宙ビジネスなど、多岐にわたるテーマでした。
一見すると別々のテーマに見えますが、共通していたのは、AIやテクノロジーが進化する時代に「人は何を問い、どう動き、どのような価値を生み出していくのか」という視点です。 異なる分野の人たちが集まり、それぞれの軌道が交差することで、新しい気づきや問いが生まれる。そんな交流の場を、今後もつくっていきます!

第2回の登壇者の皆さま、ありがとうございました!

交流会では、登壇者や参加者同士で名刺交換や情報共有が行われ、会場のあちこちで対話が生まれていました。

全員で「Orbit」の”O”を象徴する「Orbitポーズ」で写真撮影。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!
「Orbit Base」は、毎月第3火曜日に開催予定です。エンジニアや開発、AI・DXに関わる方はもちろん、クリエイターや少し話を聞いてみたい方も大歓迎です。ぜひお気軽にご参加ください!
次回以降の申込はこちら
2026年6月16日(火) 19:00〜21:00
2026年7月21日(火) 19:00〜21:00
2026年8月18日(火) 19:00〜21:00
過去のイベントレポート
異なる軌道が交差するクロスジャンルLTイベント「Orbit Base #1」を開催しました!
現場で使えるDX推進力を身につける講座
福岡DXコミュニティが主催している、DX「超」実践講座の受講生も募集中です!
福岡DXコミュニティは、このようなイベントやプログラムを通じて、地域全体が「DX-Ready(デジタル技術を活用してビジネスを変革する準備が整っている状態)」に進化することを目指しています。本コミュニティについては、下記のリンクよりご覧ください!
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