2025年度 第1回『DXものづくりWG』 開催レポート
アジェンダ
2025年6 月20日(金) 15:40~17:30 2025年度 第1回 DXものづくりWG
1.「ものつくりとDX」の紹介 (元)九州工業大学
2.「飯塚研究開発機構の事業紹介」の紹介 公益財団法人 飯塚研究開発機構
3. 意見交換
1. 「ものつくりとDX」の紹介
九州工業大学の教授によるご講演では、製造業の現場で「見えていなかったこと」を明らかにすることの重要性が強調されました。AIによる教科書的なDX定義とは異なり、ドリルへの切り屑絡みつきや、油漏れなど、自動化を阻む具体的な現場課題が存在すると指摘。切削抵抗や電力値、振動などのデータをセンサーで取得し、AIで異常検知や加工条件最適化を試みる国内事例(THKの「オムニネジ」、マザックのAI活用、中村留精密工業の「ドクタープール」など)が紹介されました。
特に、高精度な自製研削盤を用いた10万回転での工具評価実験では、工具内部のボイドが加工面の荒さや主軸の回転精度に大きく影響することが解明され、びびり振動が加工条件の変更で抑制できる可能性も示されました。
日本の産業界の複雑性は、DX推進の課題であると同時に、高いポテンシャルを秘めているためであるとも述べられていたことが印象的でした。
WGメンバーからは、「良い工具」と「悪い工具」では、回し始めて安定するまでの時間に違いがあるのかとのご質問に対し、品質の悪い工具(内部に気泡があるもの)は、安定するまでに約3分かかるが、良い工具(気泡がないもの)は数秒で安定すると回答。
研削(削る作業)の加工の条件を調整の自動化の可能性についての質問については、様々な現象を分析し、最適な条件を見つけ出すことで、その動きのパターン(プロファイル)を機械に覚えさせ、自動化につなげることが可能であると回答するなど、現場ものづくりならではの質疑がなされました。


2. 「飯塚研究開発機構の事業紹介」の紹介
公益財団法人福岡県産業科学技術振興財団(ISIT)久留米・筑後中小企業振興センターさまからは、研究開発機関として、中小企業向けのコーディネーター機能や補助金活用支援、人材育成(セミナー)、情報提供、施設レンタルに注力していることが紹介されました。
眼科向け血管観察装置や歯科口腔内洗浄装置「オーラルバブル」など、多岐にわたる製品化支援事例が挙げられ、今後、ノーコード・ローコードツールの「Node-RED」に関するセミナー開催が予定されているとのことです。
WGメンバーからは、主な顧客層についての質問があり、講師からは、中小企業が主な顧客層であり、旧産炭地域だけでなく、福岡県全域の中小企業も対象としている。特に、他の支援団体と重複しない地域や医療分野については、広範囲をカバーしていると回答。更に講師から補助金においては、補助額が30万円と少なめであるが9/10補助(事業総額34万円で満額)と自己負担が抑えられるため人気がある製品試作補助金が紹介されました。


事務局より
今回のWGには、12名(会場で11名+オンライン1名)の多くのメンバーに参加頂きました。今回も、DX推進に関する事例や製品紹介など話題が盛沢山で、議論が活発に行われました。ご参加いただき、ありがとうございました。WG終了後、恒例となった懇親会にも多数ご参加いただき、ワイワイ・ガヤガヤと更に深い議論を交わすことができました。ご説明だけでは聞けなかった裏の話や実例など、なかなか面白い話が聞けました。
次回は、9月頃の開催を予定しております。