<イベントレポート>現場主導で組織を変える「真のDX・AI活用を実現するために取り組むべき勘所」を開催しました!

2026年3月19日(木)に開催されたイベント「真のDX・AI活用を実現するために取り組むべき勘所」のレポートをお届けします。

ダイハツ工業株式会社の太古無限(たいこ・むげん)氏をゲストに迎え、わずか3人のチームから全社規模のDX・AI活用へと至った、地道で根気強いリアルな実践知を語っていただきました。

【イベント概要】

「真のDX・AI活用を実現するために取り組むべき勘所」
~小さな火種が大きなムーブメントに~

日時:2026年3月19日(木) 18:30〜20:30

会場:大名カンファレンス Dialogue Room 1

主催:公益財団法人九州先端科学技術研究所福岡DXコミュニティ

▼イベント詳細ページ

https://okdx.jp/event/meetup20260319

【イベント内容】

基調講演

パネルトーク

ネットワーキング

基調講演「真のDX・AI活用を実現するために取り組むべき勘所」

ダイハツ工業株式会社 DX推進室 デジタル変革グループ長
(兼)東京LABOシニアデータサイエンティスト (兼) DX戦略担当
太古 無限 氏

2007年ダイハツ工業に入社後、開発部にて小型車用エンジンの制御開発を担当。現在は、全社のDXを推進する業務に従事。その他に、滋賀大学データサイエンス学部インダストリーアドバイザーとして、社外におけるAI活用の普及活動にも努める。経営学修士。

太古氏は、もともとエンジンの開発責任者を務めていたエンジニアでした。2017年頃からAIを独学で学び、わずか3人のチームから取り組みが始まりました。

当時は会社としての方針や組織が一切ない状態でしたが、太古氏ら実務部隊が自らビジョン・ミッションを定義し、草の根活動から取りかかることになります。

DXの定義と組織変革

「DXとは提供価値と組織を変革し、変化に適応できる企業をつくること」と、太古氏は言います。モノがデジタル化する中で、作り手である人や組織もデジタルに対応できるよう変革していく必要があります。

太古氏が大切にしているのは、「現場の人がデジタルを使って喜び、働きやすくなること」。現場を置き去りにしたコーポレート主導の導入では、組織変革は難しいという見方です。

現場主導のAI実装

京都工場の事例では、パソコンもプログラミングも未経験の現場作業者が、わずか2ヶ月の研修で自動車の組立物体検知システムを自らAI実装しました。

外注すると数百万円かかるシステムを、自前で5万円ほどの機材を使って構築。自分たちでつくることにより、現場の要望にあわせて改善し続けられる体制ができました。こうした取り組みを通じて「人生が変わった」と語る社員も現れるなど、真のリスキリングが実現しています。

ダイハツ工業では、「現場自走型DX」=現場が主体的になり、迅速かつ柔軟にDXを推進できる体制作りを大事にすることで組織変革が生まれています。

このようなボトムアップの取り組みができたのは、当時の社長による「もっとやったら良い」という後押しでした。トップから「周りを納得させるために、小さくてもいいから多くの事例を作れ」という具体的な助言を得たことで、現場の挑戦が加速していったのです。

DXを推進するポイント

「DXは一人では成し得ません。これまで、ひたすら”仲間づくり”をしてきました」と太古氏は語ります。その戦略は、競争力強化に直結するサイクルとして設計されています。

1. 仲間を増やす

デジタル推進側と現場が「知り合い」になることで、言い出しにくい現場の本音や悩みが相談される関係性を築く。

2. テーマを集める

信頼関係から、自分たちでは気づかなかった現場の「無駄な作業」が具体的なテーマとして次々と集まる。

3. 事例を作る

集まったテーマを短期間で事例化し、成功事例はコーポレートが標準化・パッケージ化し、他部署へも横展開する。

4. 競争力強化

現場の作業負荷を軽減し、付加価値の創出に充てる時間を増やすことで、最終的に企業の競争力が強化される。

仲間を増やすための実践知

仲間づくりの過程では、デジタル部門とは思えないアナログなアプローチが行われていました。

とりあえず何でも試す

1回の集まりで1人変わればOK。100回、1000回、1万回と行動し続けることで、誰かに響くと信じて数をこなす。

徹底したアナログ周知

食堂へのポスター掲示や机へのチラシ配布など、社員の目に留まるような泥臭いアプローチを行う。

・やりたい人をピンポイントで支援

全員を動かそうとせず、意欲のある人と一緒に短期で事例を作る。その成功事例が口コミで広がり、周囲を巻き込んでいく。 そして、現場の火種を絶やさずに組織全体へと波及させていくための鍵が「社内コミュニティ」の存在です。同じ志を持つ仲間がつながり、教え合い助け合える「場」を社内で育んでいくこと。こうした取り組みの積み重ねが組織を動かし、真のDX・AI活用を実現するための最大の勘所となります。

・パネルトーク

・太古 無限 氏
・株式会社プランノーツ 代表取締役 高橋 宣成 氏
 一般社団法人ノンプログラマー協会代表理事、コミュニティ「ノンプロ研」主宰

高橋氏はOne Kyushu DXの会員で、「日本の『働く』の価値を高める」をテーマに、ノンプログラマー向けデジタルリスキリング支援、組織のDX推進・越境学習支援、コミュニティ運営などを行っている。

【テーマ】

①現場の孤立をどう防ぎ、仲間をどう増やすか?

②学びのコミュニティを増やしていくには、どうすればいいか?

③コミュニティでの学びを、どう本業に取り入れていくか?

④明日から実践できるマインドセット

パネルトークでは、コミュニティ運営にも関わっているお二人が、4つのテーマについて語り合いました。

①現場の孤立をどう防ぎ、仲間をどう増やすか?

・事例として社内に発信する

太古氏: 現場で新しい挑戦を始める人は「変わり者」と思われ孤立しがちなので、彼らの取り組みを事例として社内に発信する(プロモーションする)ことが大切です。また、役職者に向けて成果を直接発表する場を作ることで、孤立を防ぐことができます。

・社外に仲間を求める

高橋氏: 社内に理解者がいなくても、一歩外に出れば同じ悩みを持つ仲間が数多くいます。まずは社外のコミュニティでスキルを磨き、仲間を得ることで心が折れるのを防ぎながら、その実績を武器に社内へジワジワと展開していく手順があります。

②学びのコミュニティを増やしていくには、どうすればいいか?

・無理に社内だけで完結させない

高橋氏: 特に中小企業等では、社内の人間関係が近すぎるため、学び合いを呼びかけても難しい場合があります。その場合は無理に社内だけで頑張りすぎず、社外で学びの土壌を作り、その熱量を社内に持ち帰る方が、スムーズにコミュニティを広げていくことができます。

・コミュニティを「大きくしすぎない」

太古氏: ゼロからコミュニティを立ち上げるのは大変なので、すでに盛り上がっている外部コミュニティに参加し、その中で分科会を作るような「巨人の肩に乗る」アプローチも有効です。

またコミュニティを大きくしすぎると、批判的な層が入り込み、運営の負担も増えます。理想は、マニアックで尖った小さなコミュニティを多数作ることです。一つひとつが小さくても、全体を俯瞰した時に大きなデジタルコミュニティになっているように設計することが重要です。

③コミュニティでの学びを、どう本業に取り入れていくか?

・「一流」の思考や知識に触れる

太古氏: 傷の舐め合いではなく、その界隈の有名人や一流の人が集まるコミュニティを選ぶのがおすすめです。優れた人の思考や体系化された知識に触れることで、本業に活かせる学びが得られます。

・本業での課題をコミュニティに投げる

高橋氏: 本業で解決したいことを明確にしてからコミュニティに参加し、可能であればコミュニティ内で声をかけて小さなプロジェクトを立ち上げると良いです。自分の課題にあわせて学びの場を作ることで、本業への還元スピードが上がります。

④明日から実践できるマインドセット

・時間の価値を再定義する

高橋氏:1日8時間の業務を、単にお金に変えるだけの時間にするのはもったいないです。AIという武器を手にした今、どうすれば自分の仕事の価値を最大化できるかを考えることが、変革の第一歩となります。

・「ギバー(giver=与える人)」の精神と、一歩を踏み出すこと

太古氏: コミュニティでは教えを乞うだけでなく、自ら貢献する「ギバー(与える人)」の精神が大切です。そして、0.1mmでもいいので、自分にできる簡単な一歩を今日から踏み出してください。その積み重ねが、振り返った時に想像もしなかった大きな成果へとつながっていきます。

今後の福岡DXコミュニティ

4月以降に、以下のプログラムを予定しています!

「DXを”実践”できる人材育成」

①オンライン学習:ソフトバンクのオンライン学習プラットフォームを活用

②DX「超」実践講座:全6回の体系的なDX”超”実践講座を開講

③地域企業協働プログラム:企業が抱える実課題の解決を2ヶ月間で目指すインターンシップ型プログラム

毎月第3火曜日に開催!

クロスジャンルなLT(ライトニングトーク)会

第1回目:4/21(火) 19:00〜 @天神近辺

AI・DX・エンジニア・クリエイターなど、ジャンルを越えて学びや気づきを共有するイベントです。新しいヒントやコラボレーションが生まれる場を目指しています。

福岡DXコミュニティは、このようなプログラムやイベントを通じて、地域全体が「DX-Ready」に進化することを目指しています。本コミュニティについては、下記のリンクよりご覧ください!

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